やるおで学ぶ責任販売制その3

はじめに

 お久しぶりです。その2(やる夫で学ぶ書籍責任販売制(その2) - 60坪書店日記)の最後に書いた下記の内容が具体的な動きになっているので、紹介したいと思います。参考文献は、新文化2011年1月27日(2871号)です。説明メソッドはタイトルの通りやる夫です。

 日販がSCM銘柄に取る対応はおそらく2つである。

  1. このまま緩やかな責任販売制を維持する
  2. 更なる返品率減少を目指して、達成した返品率によって書店にインセンティブを支払う
やる夫で学ぶ書籍責任販売制(その2) - 60坪書店日記

 いつもの注意点ですが、業界とは無関係な人が資料をもとにお送りしているので、内容が正確でない可能性があります。ご了承下さい。大筋はあっているはず、、、現職の方々、誤りがありましたらご指摘頂けると幸甚です。

1.新たな契約方式


;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
:::::....../| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄|
  / ::::|  |______||  |______||  |______||  |
/:::::::::::|  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  |
::::::::::::::::|  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
::::::::::::::::|  |______||  |______||  |______||  |
::::::::::::::::|  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  |
::::::::::::::::|  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
::::::::::::::::|  |______||  |______||  |______||  |
::::::::::::::::|  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄||  |
::::::::::::::::|  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
::::::::::::::::|  |______||  |______||  |______||  |
::::::::::::::::|  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||  |
::::::::::::::::|  |::| ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄|.|
::::::::::::::::|  |;;|____||___||_やるお書店._||___||___|.|
::::::::::::::::|  |   //    ||  | |_____|.||  |______||  |
::::::::::::::::|  |□    // ||  |  //   ..:||  | |┌―┬―┐.゙||  |
::::::::::::::::|  | ̄|    | ̄|..:||  |  ..| ̄|. ....| ̄|||  | |..|  ..|  ..| . ||  |
::::::::::::::::|  |:.. ̄ ̄| ̄ ̄| ̄||  | ̄ ̄| ̄ ̄| ̄「||  | |..|  i.|.i  | . ||  |
::::::::::::::::|  |:..二二|二二|二||  |二二|二二|二「||  | |..|  ..|  ..| . ||  |
 
       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \    やる夫だお!
  / o゚((●)) ((●))゚o \   SCN銘柄でメシウマし始めてから、もう二年が経ったお。 
  |     (__人__)'    |  世間は不景気で、やるお書店も売上がイマイチだお!
  \     `⌒´     /   返品率も右肩上がりだお、、、




       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \    また責任販売でメシウマしたいお、、、
  |     (__人__)    |
  \     ` ⌒´     /







 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |
 |  ▲ 日販|  |
 |_____|__|
  /|    ||Y丶     久しぶりだなやる夫!
  ||  Θ||| |   
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|
   |___ハ_|
   |‖| |
   |‖| |




          ____
       /ー  ─\       ニッパンかお?
      / (●) (●) \     逆送でもしにきたのかお?
    /   .(__人__)   \    それとも返品が酷すぎるから、取引停止のお知らせかお?
    |     `⌒´      |    お茶飲んでるから、帰れお。
     \           _/
      ノ        . 厂
     .//\ "'つ ̄旦\
    // ※\____\
    \\  ※   ....※ ※ ヽ
      \ヽ-ー―――――ヽ






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |
 |  ▲ 日販|  |   酷い扱いだ。
 |_____|__|    SCM銘柄の件で少しは仲良くなったと思っていたのだが、、、
  /|    ||Y丶     せっかく新しい責任販売制の話を持ちかけに来たのに。
  ||  Θ||| |   
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|
   |___ハ_|
   |‖| |
   |‖| |






         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\
     /    。<一>:::::<ー>。
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j   なんと!!教えてくださいお。。。
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |
 |  ▲ 日販|  |   急に態度が変わったな。
 |_____|__|    やるお!今、何に困っている?
  /|    ||Y丶     
  ||  Θ||| |   
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|
   |___ハ_|
   |‖| |
   |‖| |






         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\
     /    。<一>:::::<ー>。
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j   利益率が低すぎるお、、
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜   働けど働けど、やるおの暮らしは楽にならないお、、、
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
書店の利益率について

書店の利益率はかなり低いです。*1優良な書店でも、1000円の本を販売して最終的に10円残れば良い方です。





 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |
 |  ▲ 日販|  |   私も、書店の利益率が低い事は問題だと思っている
 |_____|__|     そこでだ、新しい契約を結ばないか?
  /|    ||Y丶     
  ||  Θ||| |   
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|
   |___ハ_|
   |‖| |
   |‖| |




     ____    ━┓
   /      \   ┏┛
  /  \   ,_\.  ・  新しい契約とな?どんな契約だお?
/    (●)゛ (●)\    もしかして、掛率が50%になるのかお??
|  ∪   (__人__)   |
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |
 |  ▲ 日販|  |   本当に取引停止するぞ、、、
 |_____|__|     さて、本題だ。やるお書店の苦しい経営を
  /|    ||Y丶     『PARTNERS契約』で改善しないか?
  ||  Θ||| |   
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|
   |___ハ_|
   |‖| |
   |‖| |





      _____     ━┓
    / ―   \    ┏┛
  /ノ  ( ●)   \  ・
. | ( ●)   ⌒)   |  PARTNERS契約?
. |   (__ノ ̄    /
. |         /
  \_      _ノ\
    /´         |
.     |  /       |






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  そうだ!!これがニッパンの新たな責任販売制だ!!
 |  ▲ 日販|  |   ちなみにPARTNERSとは、
 |_____|__|     下記の意味があるから覚えておくように。
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
     || Profit       利益      .||
     || Assure      保証      ||
     || Responsibility  責任      ||
     || Tripartite    三者      .||
     || Needs      需要      ||
     || Even       公正     ..||
     || Reform      改革       ∧_∧  いいですね。
     || Share      分配  \ (゚Д゚,,)
     ||___________⊂⊂ |
  ∧ ∧    ∧ ∧    ∧ ∧    | ̄ ̄ ̄ ̄|
  (  ∧ ∧ (   ∧ ∧ (  ∧ ∧ |      |
〜(_(  ∧ ∧ __(  ∧ ∧__(   ∧ ∧ ̄ ̄ ̄
  〜(_(  ∧ ∧_(  ∧ ∧_(   ∧ ∧  は〜い、先生。
    〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)〜(_(   ,,)
      〜(___ノ  〜(___ノ   〜(___ノ





     ____   
   /      \ 
  /  ─    ─\    その当て字、よく考えたお。。。
/    (●)  (●) \   
|       (__人__)    |   
/     ∩ノ ⊃  / 
(  \ / _ノ |  | 
.\ “  /__|  |   
  \ /___ /






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  PARTNERS契約は大きく2つの柱からなる。
 |  ▲ 日販|  |   それが『インセンティブ契約』と『インペナ契約』だ!
 |_____|__|     
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





      ____ 
     /   u  \ 
   / ─    ─ \ 
  /   (●)  (●)  \   
  |      (__人__)  u |   また、複雑そうだお。。。
  \ u   ` ⌒´     /

2.インセンティブ契約とは

 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  まずは、インセンティブ契約の説明だ。
 |  ▲ 日販|  |   この契約は、ニッパンと取り決めた目標を達成した場合、
 |_____|__|     ニッパンが、やる夫書店にインセンティブを支払う。
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |






      _____     ━┓
    / ―   \    ┏┛
  /ノ  ( ●)   \  ・
. | ( ●)   ⌒)   |  インセンティブ?なにそれおいしいの?
. |   (__ノ ̄    /
. |         /
  \_      _ノ\
    /´         |
.     |  /       |






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  経営者なんだから、それくらい知っとけよ、、、
 |  ▲ 日販|  |   要するに、頑張ったで賞として、金一封をプレゼントだ!
 |_____|__|     
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





        ___ 
      /      \ 
   /          \    なんと、それはすごいお!
  /   ⌒   ⌒   \    
  |  /// (__人__) ///  |    
. (⌒)              (⌒) 
./ i\            /i ヽ 







 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  達成すべき目標は、返品率の削減だ!
 |  ▲ 日販|  |   やる夫書店の返品率は40%だから、今年の目標は4ポイント改善の36%だ!
 |_____|__|     この目標を達成した場合、やる夫書店にインセンティブを支払おう。
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |






     ____       ヽ v /
   /─  ─\     -(m)-
  /( ●)  (●)\.       ≡ 
/   (__人__)   \   これまで通りにやっていたら4%の削減は厳しいお。
|              |   今までの発注を減らして、返品率を下げるお!
/     ∩ノ ⊃  /
(  \ / _ノ |  |
.\ “  /__|  |
  \ /___ /
返品率を下げるには

 返品率は、(返品額÷仕入れ額)×100で決まります。当然、返品額を減らせば(=売上を増やす)、返品率は下がります。もしくは、やる夫が考えているように、不要な仕入れを抑制しても返品率は下がります。

■現在
1000冊仕入れて、600冊販売し、400冊返品する。
(780円×400冊/780円×1000冊)×100=40%

■やるおの企み
返品になっている70冊を、そもそも仕入れない。
(780円×330冊/780円×930冊)×100=35%



 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  おっと、説明しわすれた事がある。
 |  ▲ 日販|  |   金一封の額は、やるお書店との取引額をベースに算出する。
 |_____|__|     仕入れを抑制して目標をクリアすると、金一封の額も減るからな!
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |




        ノ L____ 
       ⌒ \ / \ 
      / (○) (○)\    ずるいお!ニッパンはやるおの事をお見通しだお!
     /    (__人__)   \ 
     |       |::::::|     | 
     \       l;;;;;;l    /l!| ! 
     /     `ー'    \ |i 
   /          ヽ !l ヽi 
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!! 
    `ー、_ノ       �堯�l、E ノ < 
               レY^V^ヽl 






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  逆に考えろ。
 |  ▲ 日販|  |   ただ発注を抑制するだけではなく、
 |_____|__|     商品をきちんと売り伸ばせば、
  /|    ||Y丶       金一封の額も大きくなるという事だ!
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |




      _____     ━┓
    / ―   \    ┏┛
  /ノ  ( ●)   \  ・
. | ( ●)   ⌒)   |  ??
. |   (__ノ ̄    /
. |         /
  \_      _ノ\
    /´         |
.     |  /       |
返品率を下げるには(その2)

 やる夫の為に、やる夫の企みとニッパンの提案を比較してみましょう。下記の通り、仕入れを抑制するだけでなく、同時に売上増加に挑戦したほうが、インセンティブの原資となる取引額が大きくなります。

■やるおの企み
返品になっていた70冊を、そもそも仕入れない。
(780円×330冊/780円×930冊)×100=35%
取引額 780円×930冊=725,400円

■ニッパンの提案
仕入れの抑制を50冊にして、返品になっていた17冊を頑張って売る。
(780円×333冊/780円×950冊)×100=35%
取引額 780円×950冊=741,000円




          ___
        /      \     kongou_aeに解説されなくても、そんな事わかってるお!!!
     ,---、  \    /\―、   沢山金一封がほしいから、ちゃんと頑張るお!
     .l   l  (●)  (●) \ |
     |    |    (__人__)    | |
     .|   |   |!!il|!|!l|   / /
      ゝ     |ェェェェ|   ノ
      \         /
       /          |
      /          | 
インセンティブ契約まとめ
  • 返品率の削減に関する目標を、日販と共有する。
  • 目標を達成した場合、日販から書店にインセンティブが支払われる。
  • インセンティブの額は、取引額をベースに算出される

 SCM銘柄の場合、責任に対するリターンは満数出庫でしたが、インセンティブ契約ではリターンが現金になっている点が大きなポイントです。

3.インペナ契約とは

 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  やる気なやる夫には、もう一つの契約が合っていそうだ。
 |  ▲ 日販|  |   それがインペナ契約だ!
 |_____|__|     
  /|    ||Y丶    この契約も、私と取り決めた目標を達成した場合、
  ||  Θ||| |     やる夫書店にインセンティブを支払おう。
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |






        ノ L____ 
       ⌒ \ / \ 
      / (○) (○)\    言っている事が、インセンティブ契約と同じだお。
     /    (__人__)   \    ニッパンはうそつきだお!
     |       |::::::|     | 
     \       l;;;;;;l    /l!| ! 
     /     `ー'    \ |i 
   /          ヽ !l ヽi 
   (   丶- 、       しE |そ  ドンッ!! 
    `ー、_ノ       �堯�l、E ノ < 
               レY^V^ヽl 






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  説明は最後まで聞け。
 |  ▲ 日販|  |   インペナ契約では、インセンティブ契約よりも沢山の金一封を渡そう。
 |_____|__|     
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





       ____
     /⌒  ⌒\     まじかお!ニッパンはたまに太っ腹だお。
   /( ―)  (―)\
  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \
  |              |
  \               /







 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  しかし、目標を達成できなかつた場合、
 |  ▲ 日販|  |   やる夫書店には、ニッパンにペナルティーを支払ってもらう。
 |_____|__|     
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





       ____
     /ノ   ヽ、_\
   /( ○)}liil{(○)\   なんと、、、
  /    (__人__)   \   やる夫が、ニッパンに金一封をあげるのかお、、、
  |   ヽ |!!il|!|!l| /   |
  \    |ェェェェ|     /








 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  どちらにするか選択しろ!
 |  ▲ 日販|  |   世間では、インペナ契約の方が多いぞ!
 |_____|__|          
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |     
  ||    ||| |   
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |
  




               ____
    , ヘー‐- 、    /ヽ  / \
  -‐ノ .ヘー‐-ィ  /(●.)  (● )ヽ
 ''"//ヽー、  ノ ./:::⌒(__人__)⌒::::::ヽ  もちろん、インペナ契約だお!
  //^\  ヾ-、.|    |r┬-|     |    やるおは勝負師だお。
,ノ   ヽ,_ ヽノヽ_)\   `ー'´    /
/    <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、  ,..-‐|、
\___,/|  !  ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \
インペナ契約まとめ
  • 返品率の削減に関する目標を、日販と共有する。
  • 目標を達成した場合、日販からインセンティブが支払われる。
  • 目標を達成出来なかった場合、日販にペナルティを支払う。
  • インセンティブの額は、インペナ契約の方が還元率が高い。その差は倍に相当する。
  • インセンティブとペナルティの額は、取引額をもとに算出される。

 厳しい責任を果たした者は、相応のリターンを得られる形になっています。責任販売ではお馴染みのロジックですね。
 なお、両施策の実施状況は、昨年12月末の時点で、インセンティブ契約が47法人32店舗、インペナ契約87法人59店舗となっています。これは日販の売上シェアの27.6%になります。

4.頑張るやる夫書店

         ___
       /     \ キリッ
      /   \ , , /\   きみきみ、補充はちゃんと考えてやるんだお。
    /    (●)  (●) \  売れたから、とりあえずスリップ流しとけとか考えてちゃだめだお!
     |       (__人__)   |
      \      ` ⌒ ´  ,/
.      /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ
      |  ,___゙___、rヾイソ⊃
     |            `l ̄
.      |          |
         
          ↑ついこの間まで、なんとなくスリップを流していた張本人





              ____
             /        \   人
            /           \   て POSデータをチェックして、
            / \     _/      \    雑誌の定期改正を徹底するお!
            |  (●)   (●)      |   売れてる雑誌は仕入れを増やし、
.           \  (__人__)  u.   /    売れていない雑誌は仕入れを減らすお!
           /  `⌒ ´       \    必要な雑誌を必要な分だけ配本してもらうお!
      彡三三ミY彡三三ミ\--、    |
       \    \\    \E |    ノ
             ↑これまて、POSデータなんて見た事がなかった人。




〜〜〜そんなこんなで頑張るやる夫でしたが・・・・・・〜〜〜





         / ̄ ̄ ̄ \
      /   :::::\:::/\    やる夫だけだと、やれる事に限界があるお、、、
     /    。<一>:::::<ー>。    このままじゃ、やる夫がペナルティを支払う事になるお、、
     |    .:::。゚~(__人__)~゚j   
     \、   ゜ ` ⌒´,;/゜    
    /  ⌒ヽ゚  '"'"´(;゚ 。    くやしいけど、ここはニッパンに相談してみるお。
   / ,_ \ \/\ \
    と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;._
、







         / ̄ ̄ ̄\ 
       /  \   /\_
      /   (●)  (●) \|l(^)  もしもし、ニッパンかお?
      |     (__人__)   l(_ )  助けて下さいお!
      \     ` ⌒´   /⊂)     
      /             ヽ ノ   <<どうした?







         / ̄ ̄ ̄\         売れそうな本の配本が少ない事があるお。
       /  \   /\_      逆に、売れない本が沢山配本される事もあるお。
      /   (●)  (●) \|l(^)  
      |     (__人__)   l(_ )   <<『新刊申込み』を利用したらどうだ? 
      \     ` ⌒´   /⊂)    
      /             ヽ ノ     『新刊申込み』??







 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  この前説明したぞ、、、
 |  ▲ 日販|  |   新刊申込みとは、日販が事前に連絡する新刊の入荷数を、
 |_____|__|        書店が自由に決められる仕組みだ。   
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |      対象商品は限られてしまうが、
  ||    ||| |      これを利用すれば、新刊の入荷数を多少コントロールできるぞ!
  L|-----||_L_|   
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |







         / ̄ ̄ ̄\       ありがとうだお!さっそく試すお!
       /  \   /\_    相談したい事は、まだまだあるお、、、
      /   (●)  (●) \|l(^)  忙しすぎて、店頭のメンテナンスが疎かになってるお、、、
      |     (__人__)   l(_ ) 
      \     ` ⌒´   /⊂)   <<『発注代行』を使ったらどうだ? 
      /             ヽ ノ   
                        『発注代行』???






 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  これも説明したぞ、、、
 |  ▲ 日販|  |   
 |_____|__|       これは基本在庫本の補充発注を日販が代行するサービスだ。   
  /|    ||Y丶    基本在庫本とする商品は、やる夫書店と一緒に考えるから安心しろ。
  ||  Θ||| |      
  ||    ||| |    これを使えば、店頭在庫の補充忘れがなくなり、
  L|-----||_L_|    販売機会の損失を防ぐ事ができるぞ!
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |






         / ̄ ̄ ̄\       そういえば、最近、お客様に、
       /  \   /\_    『夢をかなえるヤルオ』の5巻がないんだけど!
      /   (●)  (●) \|l(^)    みたいな話をされたお、、、
      |     (__人__)   l(_ ) 在庫管理がおろそかになって、販売機会を損失てたお、、、
      \     ` ⌒´   /⊂)   ニッパン、ありがとうだお!助かったお!
      /             ヽ ノ   
                       <<がんばれ、やる夫。私は、
                       <<私は頑張る書店に優しいのだ!!




〜〜〜そんな努力の日々が続き〜〜〜





 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  やる夫!結果発表の日だ!
 |  ▲ 日販|  |   
 |_____|__|       
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |      
  ||    ||| |    
  L|-----||_L_|     
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





       ____
     /      \
   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  どきどきするお、、、
  |     (__人__)'    |
  \     `⌒´     /







 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Г ̄|
 | ● ●   |   |  やる夫書店の返品削減率は8%だ!
 |  ▲ 日販|  |   よくがんばった!目標達成!インセンティブだ! 
 |_____|__|       
  /|    ||Y丶    
  ||  Θ||| |      
  ||    ||| |    
  L|-----||_L_|     
   |___ハ_|  
   |‖| | 
   |‖| |





                                 ,.へ
  ___                             ム  i
 「 ヒ_i〉                            ゝ 〈
 ト ノ                           iニ(()
 i  {              ____           |  ヽ
 i  i           /__,  , ‐-\           i   }
 |   i         /(●)   ( ● )\       {、  λ
 ト−┤.      /    (__人__)    \    ,ノ  ̄ ,!
 i   ゝ、_     |     ´ ̄`       | ,. ‘´ハ   ,!
. ヽ、    `` 、,__\              /” \  ヽ/
   \ノ ノ   ハ ̄r/:::r―&#8211;―/::7   ノ    /
       ヽ.      ヽ::〈; . ‘::. :’ |::/   /   ,. ”
        `ー 、    \ヽ::. ;:::|/     r’”
     / ̄二二二二二二二二二二二二二二二二ヽ
     | 答 |    イ ン セ ン ティ ブ      │|
     \_二二二二二二二二二二二二二二二二ノ







         ____
       /   u \
      /  \    /\    どれどれ。どのくらい貰えるお?
    /  し (>)  (<) \  
    | ∪    (__人__)  J |  ________
     \  u   `⌒´   / | |          |
    ノ           \ | |          | 
  /´                | |          |
 |    l             | |          |

         ____
       /   u \
      /  \    ─\    チラッ
    /  し (>)  (●) \
    | ∪    (__人__)  J |  ________
     \  u   `⌒´   / | |          |
    ノ           \ | |          | 
  /´                | |          | 
 |    l             | |          |

           ____
       /::::::::::::::::\
      /::::::─三三─\     これはすごいお、、、
    /:::::::: ( ○)三(○)\   やる夫書店の経営にインパクトを与える金額だお。
    |::::::::::::::::::::(__人__)::::  |  ________
     \:::::::::   |r┬-|   ,/ .| |          |
    ノ::::::::::::  `ー’´   \ | |          |  
  /:::::::::::::::::::::             | |          |  
 |::::::::::::::::: l               | |          |







    これでやる夫書店は安泰だお     γ⌒))⌒) ))  安泰だお
           ヾ  __(((⌒ヽ     / ⊃__ ゞ
             /⌒  ⌒⊂_ ヽ彡 / / ⌒  ⌒\
   (⌒ミ(⌒ヽ∩/( ⌒)  (⌒) |(⌒γ⌒)( ⌒)  (⌒) \ ∩⌒)彡⌒)
       ヽ  ノ| :::⌒(__人__)⌒ ::|  彡_ノ :::⌒(__人__)⌒ 〃/ ノ
        \ \    )┬-|   / ミ  ミ    |r┬(    / / ))
    (((⌒ (((⌒ )、 ヽ_ `ー‐’ ,/ / ≡ 彡 _`ー‐’  /( ⌒)ミ⌒)
        \ \ /                        / /
インセンティブ

 インセンティブ店舗とペナルティ店舗を合算した書店のインセンティブ獲得額は、1億3800万円となっています。これを粗利に換算すると一店舗平均で0.25%の増加になります。やる夫書店の粗利は22%ですから、PARTNERS契約の実施によって、擬似的に粗利が22.25%になったわけです。
 0.25%は僅かな気がしますが、利益率が1%以下である事を考えると、経営への影響はかなり大きくなります。実際、新文化では有隣堂とリブロの方々が、『経営へのインパクトは大きい』『経営へのインパクトある金額』と語っています。

5.まとめ

 というわけで、日販の新施策『PARTNERS契約』を説明しました。いかがでしょうか。施策の細部はさておき、責任に対するリターンが「現金」になった点が最大のポイントです。SCM銘柄は、どちらかというと満数出庫による商品確保の要素が強いのですが、PARTNERS契約は擬似的に粗利が増えるので、書店の経営改善に直結します。
 また、PARTNERS契約は、書店だけでなく日販自身の経営改善にも効果があります。その1で、ニッパンが『なんで売れ残る本を書店に運ばなきゃいけないんだよ。』と嘆いていたのを覚えていますでしょうか?12月に発表された日販の中間決算は14年ぶりの増収増益でした。この要因として、責任販売による送・返品コストの減少が挙げられています。*2 
 なお、日販とCCCの子会社であるMPDも似たような責任販売制(チャージ契約)を実施しています。MPDはTSUTAYAの取次ですから、TSUTAYAは絶賛責任販売制です。チャージ契約についても、いつか複合書店YARUOで説明出来たらと思います。
 PARTNERS契約とチャージ契約の売上を合算すると、日販の売上シェアの51.2%に達します。いずれ責任販売がメジャーな販売手法になる日も近いでしょう。

 これまで続けてきた責任販売制シリーズを通じて皆様に知って頂きたい事は、『書店は変った』という事です。『書店は売れ残ったら返品出来るから楽だ。』『書店は送られてくる本を並べるだけ』という認識は決して間違いではありません。またまだそういった環境にいる店もあります。
 ですが、そうではなく、自らを厳しい環境に置き、利益最大化を目指して切磋琢磨している書店もある事も知って欲しいなと思います。