「街の本屋」とは何か

定義が曖昧な言葉

 「街の本屋」という言葉があります。類義語として「街の書店」「町の本屋」「町の書店」などがあります。ニュースやブログで度々耳にするかと思います。いまや絶滅危惧種のあれです。

使用例
  • 中小の「街の本屋」は、苦戦を強いられている
  • 地区民に「街の本屋」さんとして親しまれている○○書店
  • 「街の本屋」が、次々に姿を消している。   

 この言葉は非常に定義が曖昧です。使われている文脈によって「街の本屋」の規模や立地が大きく異なるからです。皆さん自分なりの「街の本屋」の定義をお持ちで、それに合わせて使用しているのだと思います。
 状況の違う本屋を「街の本屋」という単語でひっくるめて論じるのは、かなりの荒技だと思います。そこで、今回のエントリーでは、この曖昧な「街の本屋」という単語を、勝手に定義しちゃいます。「これが街の本屋だ!」というものを示します。

定義づけの前に

 結論から先にいいますと、今回のエントリーでは「日書連のアンケートで多数派」だったものを、街の本屋さんのモデルケースとします。皆さん思い思いの定義があると思いますが、この方法なら全国の書店の現状に即した、それなりのモデルケースになると思います。
 参考調査:全国小売書店経営実態調査報告書(PDF)

街の本屋はこれだ!

  • 店舗構成:本店のみ
  • 開業年:昭和41年〜63年
  • 業務形態:書店専業
  • 立地環境:商店街
  • 売場面積:40坪以下
  • 営業時間:10〜12時間
  • 経営者:50代以上
  • 売上げ比率:雑高書低*1
  • 電子機器:パソコン利用、POSレジ未導入
  • 新刊書籍:ほとんど入らない
  • 新刊雑誌:希望数通りではないが入荷する
  • ベストセラー:ほとんど入らない
  • 取引取次:トーハンか日販

 辞書的にまとめると以下のようになります。

街の本屋とは

 主に商店街にある40坪以下の書店の事。50歳以上の経営者が専業で営んでいる。営業時間は10時間から12時間。売上げは雑誌が多い。情報化に遅れを取っている。また、新刊やベストセラーの配本はほとんどない。

 さて、皆さんが思い描いている「街の本屋」と比べてみてどうですか。「こんな本屋あるあるwww」でしょうか。「あ…商店街にあるわ…使ってないけど…」「うちの使っている街の本屋はまだマシな方か…」なんてのもあるかもしれませんね。
 10年後、この街の書店はどうなっちゃうのでしょうね。絶滅かな。

*1:雑誌が6割以上の店が多い