ケータイ小説を巡る良書2冊
『ケータイ小説がウケる理由』を、株式会社 毎日コミュニケーションズ出版事業本部 編集第3部 書籍編集1課 田島様より献本頂きました。ありがとうございます。
というわけで、ケータイ小説新書を両方読みました。
中身の違う2冊
同時期に2冊出たので「どちらを読めばいいか」という話になるかと思いますが、「ケータイ小説の何を知りたいか」によって、どちらかを選べばいいでしょう。そりゃ両方買うに越した事はないですよ!本屋的には。
『なぜケータイは売れるのか』はケータイ小説そのものの解説に重きを置いた本です。「何で売れるかって?そりゃ俺の読んだ売れてるケータイ小説がこういう性質を持ってるからさ!文学的・物語的に考えて」と、著者が1冊かけて説明してくれます。
逆に『ケータイ小説がウケる理由』は、ケータイ小説がウケるようになった要因の解説に重きを置いた本です。「何で売れるかって?たくさん要因があるんだよ。ケータイ小説に関わった人たちはこんな事を考えてるよ!」と、読者、著者、版元、ケータイ小説サイトへのインタビューから解説してくれます。
むしろ『ウケる』の価値は、インタビューにあると言ってしまってもいい。ケータイ小説に関わる様々な人の考えや思惑に触れる事ができる機会は、これまでそうそうなかったわけで。双葉社は本当にドンマイ。
「恋空的な小説がなんで売れるんだー」という疑問に対する答えを知りたい人は、『なぜ』を読めばいいでしょう。「ケータイ小説はなんで売れるんだー」という大きな疑問に対する答えを知り人は、『ウケる』を読めばいいでしょう。どちらも面白いです。自分がどのような答えを知りたいのかに合わせて、読み分ければいい。
ケータイ小説の今後
今後を考えていく上では、『ケータイ小説がウケる理由』の方が参考になると思う。
私は、ケータイ小説が、本田氏の指摘する「7つの大罪」や「真実の愛」といった時代を過ぎて、新たな局面に差しかかっていると考えている。DeepLoveから始まる流れは、赤い糸で途切れた。彼女たちは、DeepLoveとは違う物語*1を紡いでいる。それを理解するには、ケータイ小説に関わるすべての要素を解説してくれている『ウケる理由』の方が役に立つ。
*1:恋愛物である事は変わらないが