『ベン・トー』

 はなまる幼稚園が店に並ぶ間に、面白いと噂の『ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)』を見つけたので、購入。

 平凡な高校生が、<<氷結の魔女>>や<<魔術師>>、誇り高き<<狼>>との熱き戦いを通じて成長していく物語。
 上のようにまとめると「どんなバトルするんだよ。ファンタジーか?」という話になるのですが、本書におけるバトルは、半額シールが貼られた弁当の奪い合いです。スーパーの閉店前にやってるあれです。
 バトルするラノベはあまり好きではないのですが*1、バトルの内容がバカバカしいので、バトル部分を苦痛に感じる事がない。特殊能力なんて出てこないし。また、「世界を救うために悪を倒すんだ!」みたいなバトルものではなく、「戦いを通じた主人公の成長」がメインテーマなのでバトルものなので、バトル嫌いの私でもおk。バトルものというよりは、ライバルと戦って成長していく熱血スポーツものに近いのかもしれない。
 見所は、なんといっても登場する<<狼>>達のかっこよさ。正確なキャラ名前やイラストのない<<狼>>でさえ、台詞や仕草からかっこよさが滲み出ている。やる事なす事いちいちかっこいい。みな礼儀や信念を持ち合わせていて熱い。イラストなしの劇中名「茶髪」でさえ、誇り高き戦士なのである。久しぶりにこんなアツい人たちの物語を読んだ。
 また、そんな彼等との戦いを通じて、一人の<<狼>>として成長していく主人公の成長過程に引き込まれる。「様々なライバルと出会う事で戦う面白さに気づき、途中悩みつつも、最後には戦う意味を見出す」という王道路線?に、バカ部分が加わる事で、飽きずに読み続けられる。
 きっとバトルの中身が「半額弁当の取り合い」でなければ、こんなに面白い作品ではないと思う。熱さとバカの共存するすばらしい作品です。続編でるかなぁ。

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

 

*1:いちいち特殊能力や技を理解するのが辛い