出版社さん、安い本はどんどん全文公開すれば?

黒船来る?

 ついにGoogleブック検索が日本上陸。
 Google ブックス
 Google ブック検索、日本語版がオープン--書籍の全文表示も - CNET Japan

「ブック検索は我々にとって非常に重要。世界中の情報にアクセスできるようにするというGoogleのミッションの中心となるものだ」

 いずれ価値ある情報が全て「あちら側」に集まる日が来るかもしれない。

やはり見にくい

 早速使ってみた。操作性はいい。ページをめくるエフェクトが無くてよかった。
 だが、モニターで縦書きを読むのはしんどい。こればかりはGoogleでもどーしようもない。以前小学館のSookが刊行される時にも書いたが*1、Web上では横書きの文字に見慣れているため、縦書きの文字を読むには余計な力を必要とする。モニターの上から下まで目を長距離動かすのが意外ときつい。
 さらに、これらは純粋な文字ではなく画像(pdfか?)なので、輪郭が鮮明ではない。文字がぼやけまくり。背景にムラがあるものもある。Web上では鮮明な文字の長文でさえ嫌われるのだから、鮮明でない文字の長文を誰が読むだろうか。正直私は2ページで止めたくなった。*2

不便だからこその全文公開

 私からすると、Googleブック検索で全文公開されている書籍を全文読める人は猛者だ。すげーよその目。
 だからこそ、出版社は積極的に全文を公開していくべきじゃないかと思う。なぜなら、初めから終わりまできっちり見る人は猛者クラスであり、それほど多くないだろうから。
 どーせ全文公開しても全文見る人はいない。なら部分公開よりも、消費者が自分で読みたいところを選べるの全文公開の方が、消費者に良い印象を与える事ができるはずだ。

「本で読む」の対価は安いほどいい

 さらに高い本よりも安い本を積極的に全文公開していくべきだろう。単行本よりも新書を。新書よりも文庫を。なぜなら安ければ安いほど、「本を買って読んだ方が楽だな」となりやすいから。
 もし、読みたいけど1500円する単行本が全文公開されていたら、苦行に耐えてGoogleブック検索で読むだろう。だって1500円は高いもん。
 だが600円の文庫ならどうか。仮に『ゼロの使い魔』が全文公開されていたとしたら、私はブック検索で冒頭を立ち読みして、本を買いに行く。立ち読みして気に入った作品をモニターで読むくらいなら、600円払います。一般文芸ならなお更だろう。
 「本で読む」という行為に1500円は払えないが、600円はなんとか払える。まだ「本を本というメディアで読む」という行為は、ある程度の金を払うだけの価値があるだろう。だから安い作品*3こそ積極的に全文公開を。

売り上げは減らない

 何?売上が下がる?ブック検索でちょっと読んで満足する人は、店頭でも立ち読みしかせず本を買わないでしょう。全部読んだ猛者は、立派な作者のファンですよ。新刊買ってくれるかもね。
 そんな事を危惧するよりも、Googleブック検索を利用して、本を買ってくれるかもしれない人、これまで本を買ってくれている人に「いつでもどこでも何でもどれだけでも立ち読みできる環境」を提供する方が、出版社の利益に繋がるのではないだろうか。
 立ち読みさせないリアル書店が寂れ、本が売れなくなるように、立ち読みさせない出版社の本はネットで売れなくなる日が来るかもー。

*1:参照:なぜネット雑誌はリアル雑誌の形をしているのか

*2:逆に横書き+文字が簡素な英文は意外と読めた

*3:当然コミックは除く