『ハーフボイルド・ワンダーガール』

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)

ハーフボイルド・ワンダーガール (一迅社文庫)

 北千住構内の東部ブックス(大きいほう)で購入。ガガガの新刊を探しに行ったのに、なぜか買ったのが先月の一迅社文庫だったという不思議。

感想

 ちょっぴりつらい青春物の作品です。あらすじで青春ミステリーを謳っていますが、ミステリー要素は皆無です。なにせ序盤から犯人の想像がついてしまう。しかもそれが正解。
 本作でのミステリー要素は、主人公が自身の初恋に蹴りをつけるための装置です。謎を解いていく場面ごとに、初恋の相手を本当に好きだった事に気づくが、今からではどうにもできない現実を突きつけられていく。何もしなかった事を後悔し、初恋の想いと絶望的な現実の挟間で、苛立ち苦しむ。
 その葛藤の中で、主人公は自身の初恋に蹴りをつけ、新たな第一歩を踏み出していきます。当然、本作最大の見せ場は、主人公が片思いの幼馴染へ想いを捨てる場面です。
 現代学園普通では珍しい、失恋の物語でした。