角川系新書のちょっとした気遣い
ちょっとした気遣い
角川GHDの角川書店、角川SSC、アスキーは、それぞれ新書のレーベルを持っています。角川oneテーマ21、角川SSC新書、アスキー新書です。
これらのレーベルには一つの特徴があります。それは表紙に著者の肩書きを載せている事です。ちょいとした気遣いですが、新書戦争では地味に効く戦術だと思います。
新書戦争における戦術
書店における新書戦争とは、いかに消費者の目に留まるか、そして手にとってもらうかの戦いです。目に留まるための方法として派手な帯、派手な装丁が登場しました。また、手にとってもらうための方法として奇抜なタイトルやキャッチコピーをつけたり、有名人を多用するようになりました。
これらをざっくりまとめると、「お客様の注意を引く方法」と言えます。これらの手法はやり始めた事は非常に有効だったでしょうが、どのレーベルもやるようになった結果、効果がなくなってしまったように思えます。全ての新書がお客様の注意を引こうとすれば、効果があるはずがないわけで。お客様の注意を引く方法は限界に来つつあります。
肩書きが独自の戦術になる
そういった中で、角川系がやっている肩書き作戦は、従来の「注意を引く方法」では無理だった「あー、この本はその筋の専門家が書いてるのね」という感覚を、お客様の目に留まった段階で与える事が出来ます。
さて、お客様は、「目に留まった段階でどんな人が書いているか分からない新書」と「目に留まった段階で専門化が書いていると分かる新書」のどちらを手に取るでしょうか。おそらく後者でしょう。新書の主要読者である中高年は権威に弱そうだし。
という考えが、部屋で新書を整理していた時に浮かんだのですが、実際どーなんでしょうね。
つか、なんで他の新書は「購買に繋がりそうな著者の権威」をカバー折り返しや裏表紙という手に取らないと見えない部分に記載しているのでしょうか。表紙に載せておけば、手に取ってもらえる確立が増えるかもしれないのに。