2ちゃんねる新書と新書の終焉
2ちゃんねる新書!?
バイトに行って、日販週報の発売予定のページ読んでたら、吹いた。
ぶんか社から「2ちゃんねる新書」なるものが出る模様。確か、発売予定日が9/1で、4作品か5作品同時発売だったと思う。お値段は800円くらい。作品名をしっかり覚えていないが、『朝勃起時の排尿方法』『ご飯の上にのっけるとうまい物』みたいなタイトルがあったと思う。*1
「新書バブルもここまで来たか」という感じ。新書のおおざっぱな定義とは教養雑学である。だから「排尿方法」や「うまい物」のような内容であっても、新書と名乗るのは「あり」だと思う。
だけど、新書担当としては「ぶんか社自重www」である。『泣ける2ちゃんねる (2ch+BOOKS(1))』のような単行本か文庫で出してよ。何事にも超えちゃいけない一線があるだろ…。こんな本を新書コーナーに陳列しろと?新書担当としてお断りしたい。
新書の終焉
新書は「学術的な知識や一般教養の啓蒙」という役割を持っていたらしい。しかし今現在、そんな役割を持っているのは岩波と中公*2くらいである。他の新書はエッセイやハウツー物、ビジネス書や実用書っぽい物など「何でもあり」の状況である。
でも、これら「何でもあり」の新書が守っているルールがある。それが「ライトな教養」である。
この流れを変えたのは、平成10年の文春新書(文芸春秋)の創刊。「アカデミズムからライトな教養への変化を決定付けた。これを機に、教養新書は創刊ラッシュとなりました」
http://www.sankei.co.jp/enak/2006/may/kiji/02booksale.html
新書は簡単に読めるけど、参考になる。得るものがある。為になる。そんな「軽い(Light)な教養」が新書の価値であり、お客様もそれを求めている。新書バブルで新しい新書が出続けている現在であっても、新書コーナーには「ライトな教養」の雰囲気が漂っていると思う。
にもかかわらず、2ちゃんねる新書は「ライトな教養」という新書の唯一の価値をぶち壊しにかかった。個人的な感覚だが、今回出る「排尿方法」や「うまい物」からは「ミニマムな教養」すら感じられない。こんなのはネタであり、しょうもない雑学だ。
今後もこんな教養の欠片もない新書が出続け、売り場から「ライトな教養」の雰囲気が無くなって行くのだとしたら、お客様は新書コーナーを離れていくだろう。そして新書バブルは崩壊してしまう。
さてどーするか。いっその事、単行本のコーナーに差そうかなぁ…。売れるんだろうけど、これらの本が新書のコーナーにあるのが許せない。